観光客でにぎわう大阪市中央区の道頓堀で、万博期間中に毎日、手作りの紙芝居を手に立ち続けている男性がいる。閉幕までの184日間、観光客らに訴えるのは核廃絶だ。
「核兵器は決して、二度と使われてはならない」
2人の観光客を前に、吉村大作さん(45)は英語で紙芝居を読み上げた。ニュージーランドから訪れたジョシュ・ストゥープさん(33)は「彼の迫力はすごい。絵からも当時の広島のことが伝わってくる」
普段は鶴見区で地域新聞を発行しながら、「社会奉仕家」として活動している吉村さん。ウクライナからの避難民や、能登半島地震で被害に遭った輪島塗の工房への支援を続けてきた。
原爆というテーマに注目した大きなきっかけは、2022年にウクライナからの避難民と広島を訪れ、被爆者の小倉桂子さん(87)らに話を聞いたことだった。当時の惨状を語る姿に、「人類の教訓として世界で語り伝えていくべきだ」と感じたという。
「戦争の話なんて大阪で聞きたくない」
そこで継承の手段に選んだの…